Amazon CloudWatch Database Insights と Scandock の比較

Amazon CloudWatch Database Insights と Scandock を、監視の作り方、原因の調べ方、導入の手順などで比べます。

2026年11月3日時点

Amazon CloudWatch Database Insights は、Amazon RDS と Amazon Aurora の監視の機能です。2026年7月31日に提供を終えた Performance Insights の後継で、DB の負荷 (DB load) を待機イベントや SQL ごとに分けたグラフを表示します。Standard モードと Advanced モードがあります。

Scandock は、DB の監視に絞ったサービスです。AI が DB のテーブルと実データを読んで何を見張るかを決め、異常があれば原因まで調べて、根拠と対処案をつけて知らせます。始めるときに登録するのは接続文字列だけです。

2つは見張るものが違います。Database Insights が見るのは DB の負荷や CPU などの性能で、閾値を決めるのも画面を読み解くのも人です。Scandock が見るのは注文や決済のような DB の中の業務データで、異常の原因まで AI が調べます。RDS や Aurora を使っていれば Database Insights は最初から付いてくるので、外す必要はありません。この記事では、両方の実際の画面を並べて、それぞれが何を受け持つかを説明します。

結論

RDS / Aurora の性能は Database Insights、業務データと原因の調査は Scandock、という分け方をおすすめします。

Database Insights は DB の負荷や重い SQL を見るのに向いていますが、注文や決済のような業務データは見ません。アラームの閾値を決めるのも、異常のたびに画面を読み解くのも人です。Scandock を足すと、業務データの異常に気づけるようになり、原因と対処案まで届きます。閾値の調整は要りません。接続文字列を登録するだけで始められ、Database Insights の設定はそのままで使えます。

役割の違い

項目CloudWatch Database InsightsScandock
受け持つ範囲RDS / Aurora の性能 (DB load、CPU、接続数、重い SQL など)DB の中の業務データ (注文、決済、ジョブなど) と、異常の原因
監視項目の設計用意されたダッシュボードに性能の指標が出る。何をアラームにするかは人が決めるAI がテーブルと実データを読んで決める
異常の判定人がアラームの閾値 (または異常検知の幅) を設定するAI が推移と過去の結末から判定する
原因の調査人が DB load と Top SQL を読む。Advanced では、人が期間を選んで機械学習の分析レポートを作るAI がクエリを実行して調べ、根拠つきで通知する
対処人が対処する。自動で動かすには、アラームに Lambda や Systems Manager の処理を人がつなぐAI が対処案を出し、登録した対処を承認してから実行する
導入Standard は RDS / Aurora で最初から有効。Advanced は DB の設定を変える。遅いクエリのログや通知は別に設定する接続文字列を登録するだけ
業務データの監視見ない (カスタムメトリクスを送る仕組みを自分で作る必要がある)注文数や決済の失敗なども AI が見張る
対象の DBRDS / Aurora の各エンジンと、EC2 上で動かす PostgreSQLPostgreSQL、MySQL、MariaDB、SQL Server、TiDB、D1、BigQuery (RDS、Neon、Azure SQL Database、Cloud SQL なども可)
通知先Amazon SNS のトピック (メールなど)Slack、メール、Teams、LINE WORKS、LINE、Chatwork、kintone、Webhook など

何を見張るか: DB の性能か、業務の数字か

CloudWatch Database Insights

Database Insights は、DB の負荷、CPU、メモリ、接続数、IOPS などの性能の指標を、用意されたダッシュボードに表示します。通知が要るときは、人が CloudWatch アラームを作り、メトリクス、条件、閾値、何回続いたら鳴らすかを選びます。見張るのは DB の性能だけで、注文の数や決済の成否のような業務の数字は対象に入りません。

CloudWatch Database Insights のフリートの健全性ダッシュボード。インスタンスごとの状態が六角形で並び、DB load の上位10件のグラフがある
CloudWatch Database Insights: フリートの健全性ダッシュボード (出典: Amazon CloudWatch User Guide「Viewing the Fleet Health Dashboard」)

Scandock

Scandock では、AI がテーブルと実データを読み、決済の成否、決済手段ごとの失敗、注文の流入、配送ジョブの滞留などを監視項目にします。人が閾値を決める必要はありません。AI が推移から異常を判断して「発火」の印を付け、そのまま原因の調査に進みます。DB が遅くなっていなくても、業務の数字がおかしければ気づけます。

Scandock の監視項目の画面。決済の成否や注文の流入などのグラフが並び、異常の時刻に発火の印が付いている
Scandock: 監視項目の画面 (デモのデータ)

原因の調べ方: 画面を読むか、答えが届くか

CloudWatch Database Insights

Database Insights では、DB load を待機イベントや SQL ごとに分けたグラフと、負荷の大きい SQL の一覧 (Top SQL) から、人が怪しいクエリを探します。Advanced モードでは、人が期間を選んで「Analyze performance」を押すと、機械学習で異常とボトルネックを探したレポートが作られます。どちらも、人が画面を開いて読み解く使い方です。AWS には生成 AI で調査を手伝う CloudWatch investigations もありますが、公式ドキュメントが挙げる材料はメトリクス、ログ、変更の記録、トレースなどで、DB のテーブルの中身は含まれていません。

CloudWatch Database Insights のデータベースインスタンスのダッシュボード。待機イベントごとの DB load のグラフと Top SQL の一覧がある
CloudWatch Database Insights: DB load と Top SQL (出典: Amazon CloudWatch User Guide「Viewing the Database Instance Dashboard」)
CloudWatch Database Insights の Analyze performance ボタンと、性能分析レポートの一覧
CloudWatch Database Insights: 期間を選んで作る性能分析レポート (Advanced モード) (出典: Amazon CloudWatch User Guide「Viewing the Database Instance Dashboard」)

Scandock

Scandock では、異常に気づいた AI が、読み取り専用のクエリで DB を調べます。どこで何が起きているかを根拠つきでまとめ、対処案を添えて Slack やメールに知らせます。人が画面を開いて原因を探す必要はありません。届いた報告を読んで、対処を承認するかを決めるだけです。

Scandock のインシデントの画面。決済エラー率の上昇について、AI が原因と対処案をまとめている
Scandock: インシデントの画面 (デモのデータ)

導入の手順

Amazon RDS for PostgreSQL を監視する場合で比べます。

CloudWatch Database Insights

  1. Standard モードは、RDS / Aurora では最初から有効になっている
  2. Advanced モードを使うなら、RDS のコンソールで DB を「変更」し、Database Insights の項目で Advanced を選んで適用する (止める必要はない)
  3. 遅いクエリを見るなら、DB のログを CloudWatch Logs に出し、DB のパラメータを設定する
  4. OS のプロセスを見るなら、拡張モニタリング (別料金) を有効にする
  5. 通知が要るなら、CloudWatch アラームを作り、メトリクス、条件、閾値、通知先の SNS トピックを選ぶ

Scandock

  1. 接続文字列を貼って登録する (管理者ユーザーなら、監視用の読み取り専用ユーザーを自動で作る)
  2. AI がテーブルと実データを読み、監視項目を決めて見張り始める

Scandock は DB サーバーに何も入れず、DB の設定も変えません。インターネットに公開していない DB は Cloudflare Tunnel 経由で接続できます。

組み合わせ方

Database Insights と Scandock は自動ではつながりません。それぞれの画面と通知を並べて、次のように分けて使います。

  • DB の負荷、CPU、接続数のような性能の変化は、Database Insights のダッシュボードと CloudWatch アラームで見ます。
  • 注文が減った、決済だけが失敗している、ジョブが滞っている、といった業務の数字の異常は、Scandock が気づいて知らせます。DB が遅くなっていなくても気づけます。
  • CloudWatch アラームが鳴ったら、同じ時間帯に Scandock の発火や調査結果が出ていないかを見ます。業務データへの影響と、原因の見当がつきます。
  • Scandock の調査で重いクエリが原因と分かったら、Database Insights の Top SQL で負荷の推移を確かめます。
  • Neon、Cloud SQL、Azure SQL Database、BigQuery など、AWS の外にある DB も Scandock でまとめて見張れます。
  • 通知は受け取る人に合わせて分けられます。性能のアラームは SNS 経由のメール、業務データの異常は Slack、Teams、LINE、kintone などに送れます。

Database Insights はそのままで、Scandock を足して試せます。14日間は無料で、接続文字列を登録するだけで、AI が業務データを読んで見張り始めます。DB は速いのに注文が止まっている、決済だけが失敗している、といった性能の指標に出ない異常を、原因と対処案つきで知らせます。まずは今の監視と並べて試してみてください。

出典

CloudWatch Database Insights の機能・手順・画面は、2026年11月3日に AWS の公式サイトで確認したものです。最新の情報は公式サイトで確かめてください。Amazon CloudWatch、Amazon RDS、Amazon Aurora は Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。