Zabbix と Scandock の比較

Zabbix と Scandock を、監視の作り方、原因の調べ方、導入の手順などで比べます。

2026年11月3日時点

Zabbix は、オープンソースの監視ソフトです。サーバー、ネットワーク機器、アプリケーションに加えて、MySQL や PostgreSQL などの DB も公式のテンプレートで監視します。見張るのは主に、接続数、スロークエリ、レプリケーションの遅れといった性能と稼働の値です。

Scandock は、DB の監視に絞ったサービスです。AI が DB のテーブルと実データを読み、注文、決済、ジョブのような業務データの何を見張るかを決めます。異常があれば原因まで調べてから、根拠つきで知らせます。

2つは見張るものが違います。どちらかを選ぶより、役割を分けて組み合わせる方が実際に合います。この記事では、両方の画面を並べて、それぞれが何を受け持つかを見ていきます。

結論

Zabbix はそのまま使い、DB の業務データと原因の調査に Scandock を足すのがおすすめです。

サーバーやネットワーク、DB の稼働は Zabbix が見張ります。Scandock は、注文の減少や決済の失敗のような業務データの異常に気づき、原因を調べて対処案まで届けます。閾値を決める必要はありません。始めるのに要るのは接続文字列だけで、Zabbix の設定は何も変えません。対処は人が承認してから実行します。

役割の違い

項目ZabbixScandock
提供の形オープンソースのソフト。自分のサーバーで動かす (Zabbix Cloud もある)クラウドのサービス (SaaS)
主に見張るものサーバー、ネットワーク機器、アプリケーション、DB の性能と稼働DB の中の業務データ (注文、決済、ジョブなど) と、異常の原因
監視項目の設計人がテンプレートを選び、アイテムとトリガーを設定するAI がテーブルと実データを読んで決める
異常の判定人が書いたトリガーの式と閾値で判定するAI が推移と過去の結末から判定する
原因の調査鳴ったトリガーを知らせる。原因は人がグラフや最新データを見て調べるAI がクエリを実行して調べ、根拠つきで通知する
対処人が手で対処する (スクリプトを自動で実行する設定もできる)登録した対処を、承認してから実行する
導入Zabbix サーバーの構築、Agent 2 の導入、監視用ユーザー、テンプレートとマクロの設定接続文字列を登録する
業務データの監視ODBC やカスタムクエリで SQL を自分で書く注文数や決済の失敗なども AI が見張る
費用ソフトは 0 円。サーバー代と運用の手間がかかる月 ¥29,800 から (DB 3つまで)

何を見張るか: トリガーを人が書くか、AI が決めるか

Zabbix

Zabbix では、取得する値 (アイテム) と、障害と判定する条件 (トリガー) を人が設定します。MySQL や PostgreSQL の公式テンプレートには、接続数、スロークエリ、レプリケーションの遅れなどのトリガーが入っています。既定の閾値は環境に合わないことがあり、人が数週間のデータを見てマクロで調整します。注文数のような業務データは、SQL とトリガーの式を自分で書きます。

Zabbix のトリガーを作る画面。名前、深刻度、条件の式などを入力する
Zabbix: トリガーの作成 (出典: Zabbix 7.0 Manual「Configuring a trigger」)

Scandock

Scandock では、AI がテーブルと実データを読み、決済の成否、決済手段ごとの失敗、注文の流入、配送ジョブの滞留などを監視項目にします。人が閾値を決める必要はありません。AI が推移から異常を判断して「発火」の印を付け、そのまま原因の調査に進みます。

Scandock の監視項目の画面。決済の成否や注文の流入などのグラフが並び、異常の時刻に発火の印が付いている
Scandock: 監視項目の画面 (デモのデータ)

原因の調べ方: 画面を読むか、答えが届くか

Zabbix

Zabbix では、トリガーが障害の状態になると「障害」の一覧に出て、通知が届きます。分かるのは「どのトリガーが鳴ったか」までです。なぜ起きたかは、人がグラフや最新データを開いて読み解き、必要なら DB に入って SQL を書いて調べます。

Zabbix の障害の一覧の画面。MySQL server の「MySQL: Service is down」が深刻度 High で出ている
Zabbix: 障害の一覧 (出典: Zabbix 7.0 マニュアル「Zabbix エージェント 2 で MySQL を監視する」)
Zabbix のホストのダッシュボード。MySQL の操作数、クエリ数、接続数、通信量のグラフが並んでいる
Zabbix: MySQL のホストのダッシュボード (出典: Zabbix 7.0 マニュアル「Zabbix エージェント 2 で MySQL を監視する」)

Scandock

Scandock では、異常に気づいた AI が、読み取り専用のクエリで DB を調べます。どこで何が起きているかを根拠つきでまとめ、対処案を添えて Slack やメールに知らせます。人がグラフを読み解く必要はありません。届いた結果を読んで、対処を承認するかを決めるだけです。

Scandock のインシデントの画面。決済エラー率の上昇について、AI が原因と対処案をまとめている
Scandock: インシデントの画面 (デモのデータ)

導入の手順

セルフホストの PostgreSQL を、Zabbix 7.0 (LTS) の Zabbix agent 2 で監視する場合で比べます。

Zabbix

  1. Zabbix サーバー、Web インターフェース、Zabbix が使う DB を用意する (Zabbix Cloud を使うならこの手順は要らない)
  2. DB に届くホストに Zabbix agent 2 と、PostgreSQL のプラグインのパッケージ (zabbix-agent2-plugin-postgresql) を入れる
  3. 監視用の zbx_monitor ユーザーを作って pg_monitor のロールを与え、pg_hba.conf に接続の許可を足して設定を読み込み直す
  4. Zabbix の画面でホストを作り、テンプレート「PostgreSQL by Zabbix agent 2」をリンクして、マクロに接続先 ({$PG.CONNSTRING.AGENT2}) とパスワード ({$PG.PASSWORD}) を設定する
  5. 最新データの画面で値が入るのを確かめ、通知の送り先を設定する
  6. 業務データも見るなら、ODBC か Agent 2 のカスタムクエリで SQL を書き、トリガーを作る

Scandock

  1. 接続文字列を貼って登録する (管理者ユーザーなら、監視用の読み取り専用ユーザーを自動で作る)
  2. AI がテーブルと実データを読み、監視項目を決めて見張り始める

Scandock は DB サーバーに何も入れず、DB の設定も変えません。公開していない DB は Cloudflare Tunnel 経由で接続できます。

費用

Zabbix はソフトの料金が 0 円です。比べるべきなのは、監視サーバーの費用と、監視を作って運用する人の時間です。

項目ZabbixScandock
ソフトの料金0 円 (ライセンス料なし)Starter 月 ¥29,800 (DB 3つまで)、Business 月 ¥79,800 (DB 10個まで)
監視サーバー自分で用意する。Zabbix Cloud なら月 ¥7,500 から (Nano、50 NVPS)不要 (料金に含まれる)
公式の有償サポート任意。Silver 月 ¥48,750、Gold 月 ¥123,750 から (どちらも年契約)—
人の手間サーバーの更新と保守、テンプレートとトリガーの設定、閾値の調整、障害の調査届いた調査結果を読み、対処を承認するか決める
  • Zabbix の金額は公式サイトのドルの価格を、1ドル150円で円にしました。Zabbix Cloud は Nano が月 $50 からで、10GB のストレージを含みます。NVPS は1秒あたりに受け取る値の数で、監視する項目が増えるほど大きな段階が要ります。公式サイトには「価格は目安で、構成によって変わる」と書かれています。年契約は10%安くなります。
  • Zabbix の有償サポートは、Silver が月 $325 (平日の日中、回答は1営業日以内、年8件まで)、Gold が月 $825 から (回答は4時間以内、件数の上限なし) です。ソフトを使うだけなら、サポートの契約は要りません。
  • 自分のサーバーで動かす場合のサーバー代は、構成や使うクラウドによって大きく変わるため、ここでは金額を出していません。
  • Scandock は DB 3つまでが Starter (月 ¥29,800)、10個までが Business (月 ¥79,800) です。プランごとに監視項目の数と判定の間隔に上限があります。年払いは2か月分お得です。

組み合わせ方

Zabbix と Scandock は別々に動きます。Zabbix の設定はそのままで、Scandock を横に並べて使います。

Zabbix が受け持つこと

  • サーバー、ネットワーク機器、アプリケーションの稼働と性能
  • DB の稼働と性能 (接続数、スロークエリ、レプリケーションの遅れなど)
  • 社内のネットワークの中だけで完結させる必要がある監視

Scandock を足して受け持つこと

  • 注文数や決済の失敗、ジョブの滞留など、DB の中の業務データの異常
  • 業務データの監視項目の設計と異常の判断 (SQL やトリガー、閾値を書く必要はありません)
  • 異常の原因の調査と、対処案のまとめ

並べて使う流れ

  • サーバーの値が正常でも、注文が減る、決済の失敗が増えるといった業務の異常は起きます。こうした異常は Scandock が気づいて知らせます。
  • Zabbix で DB の障害が鳴ったときは、Scandock のインシデントの画面も開きます。業務データにも影響が出ていれば、AI が調べた原因と対処案がそこにまとまっています。
  • Scandock の通知は、Slack、Microsoft Teams、LINE WORKS、kintone、Webhook などに送れます。チームが普段見ているチャンネルに送れば、Zabbix の通知と並べて追えます。
  • Zabbix で業務データを見るために SQL とトリガーを書いていたなら、その分を Scandock に任せられます。

今の監視はそのままで、Scandock を足して試せます。Zabbix の設定を変える必要はありません。14日間は無料で、接続文字列を登録するだけで、AI が業務データを見張り始めます。

出典

Zabbix の価格・手順・画面は、2026年11月3日に公式サイトで確認したものです。最新の情報は公式サイトで確かめてください。Zabbix は Zabbix LLC の商標です。